アニメーターの新たな時代:2Dアニメーションの可能性を広げるHarmony
ブログ Text_豊田美紀
2024年05月28日
日本のアニメ業界を支え、世界中のファンを魅了する作品を生み出してきたアニメーター。近年、アニメ業界も働き方の改革やデジタル化の流れを受け、新たなスキルと働き方が求められる時代に移行している。
本記事では、2D Harmonyアニメーターとして活躍する沖本将太氏を取材し、カナダ留学経験、現在のアニメーター雇用市場の動向、フリーランスとして活動する際に重要なスキルやアプローチについて伺った。
2D Harmonyアニメーションとの出会い
子供の頃からディズニーチャンネルやカートゥーンネットワークのようなアニメを見て育ち、海外スタイルのカートゥーンに憧れを持っていたという沖本氏。子供向けアニメを作りたいという思いから、日本大学芸術学部映画学科に入学し、3DCGアニメーション制作を学び始めた。「大学生の時、手書きアニメを2作品作成し、楽しさを感じたものの、どこか引っかかる部分がありました。その時、Toon Boom 「Harmony」を使ってカットアウトでアニメーションを作る手法に興味を持ちトライアルから始めました。Harmonyを使って作画で跳ねるボールのアニメーションを作った際、その動きが昔見ていた子供向けアニメに似ていると感じ、2Dアニメーションでカートゥーンを作りたいと思いました」。
Harmonyのユーザビリティと利便性について、沖本氏は次のように語っている。「2Dアニメーションにも色々な手法がある中、Harmonyでは1つのソフトの中で一連の工程が完結するという点が好きです。例えばキャラクターの顔のみカットアウトで制作し、あとは作画を使用することも可能で、カットアウトと作画の両機能を備えているHarmonyだからこその手法だと思います」。
カナダ留学:夢への挑戦
Harmonyに出会った後、更に2Dアニメーション技術を学びたいと思い留学を決めた沖本氏。「海外スタイルのカートゥーンに憧れを持っていたので、海外のスタジオで働きたいという思いは元々あり、海外で働く夢を捨てきれず、留学を決めました」。
留学先として、当初はアメリカを検討していたが、プログラムの期間や費用、住環境等を考慮し、アメリカより安価に1年間のプログラムを提供するカナダのVancouver Institute of Media Arts(以下、VanArts)に決めたという。
カナダでの留学生活を振り返り、「相談できる仲間のいる環境が楽しく、自然と毎日教室に残り作業する日々を過ごしていました。そして、国際色豊かなクラス環境も刺激的でした。」と語る沖本氏。朝9時の授業から夜11時まで、仲間と共にアニメーション制作に没頭する日々を過ごし、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨し互いに学び合う環境が、沖本氏を大きく後押しした。当初、Toon Boom公式YouTubeに載っているチュートリアル動画を視聴し、独学でHarmonyを学び始めた沖本氏にとって、VanArtsは新たな表現方法や技術、そして作品を鑑賞者に届けるための方法論など、多くの学びの場となった。
変化するアニメーターの雇用市場:セルフブランディングの重要性
最近のアニメーターの雇用市場は、以前より仕事が減少しており、経験豊富なアニメーターであっても、仕事がない状況は珍しくない。フリーランスのアニメーターとして今を生きるには、単なるスキルや経験だけでなく、セルフブランディングが求められている。SNSやポートフォリオサイトなどを活用し、自分の作品やスキルを積極的に発信、個性をアピールしていくことが重要なアプローチになっている。
プロフィール: 沖本将太(おきもとしょうた)
2D Harmonyアニメーター
Toon Boom Japanは、日本のアニメ業界の未来を担う人材育成に貢献するため、アニメ制作会社や教育機関と連携して様々なサポートサービスを提供しています。その一環として、毎月2回、Storyboard ProとHarmonyの無料ワークショップを開催していますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。
また、Toon Boonではアニメーションのスキルを上達したいという方の為に様々なレベルのトレーニングコースを提供しています。自分のペースでトレーニングを進めていただき、コース完了後には認定バッジを取得することができます。詳しい情報は、公式ウェブサイトでご確認ください。