アニメーション制作の未来を担う人材育成:東放学園映画専門学校とToon Boom Japanの取り組み

ブログ Text_豊田美紀
2024年04月04日

アニメーション制作の未来を担う人材育成:東放学園映画専門学校とToon Boom Japanの取り組み

実践的なアニメ制作技術と最新の業界動向を学べる授業科目を揃え、日本アニメ業界に貢献する人材を多く輩出してきた東放学園映画専門学校(以下、東放学園)。同校のアニメーション・CG科は、2021年4月にアニメーション映像科から名称を変更し、時代の変化や業界の課題に即応したカリキュラムを提供している。

Toon Boom「Harmony」ワークショップ開催

2024年1月、同校はToon Boom Animationと共同し、1・2年生を対象としたToon Boom Harmonyのワークショップを2日にわたり開催した。Toon Boom Japan公式講師の溝口浩志によってオールインワン2D制作アニメーションソフトウェアであるHarmonyのデモと、ソフトウェアの概要や機能、実際の操作方法について講義が行われた。2日目には、実際にソフトウェアに触れながら、参加者がアニメーション制作を体験。原画の描写から動画の作成、カメラワーク、ペイント、撮影まで、従来の伝統的なアニメ制作に含まれる各工程をHarmonyを使用してすべてデジタル上で行うことができる。

ワークショップ参加者 ワークショップ参加者

ワークショップ参加者の声

今回のワークショップの参加者からは、「実際にHarmonyを使用してアニメ制作を体験することで、デジタルツールの利便性を実感した」、「講師から直接指導を受けることができ、今後の学習に活かせる貴重な経験となった」との声が聞かれた。

「今回Harmonyを使って実際にアニメ制作を体験して、デジタルツールの効率性と表現力の高さに驚きました。特に気に入ったのはタイムシート機能です。現在、制作中の作品で原画を担当しているのですが、タイムシートを毎回書くのにどうしても時間がかかってしまいます。Harmonyではタイムシートを自動的に生成することができて、効率性が一気に上がると感じました」(1年生 留学生 Jさん)。

東放学園は、世界中から留学生を受け入れ、様々なバックグラウンドを持つ学生に最適な学習環境を提供している。Harmonyについて、その世界的なシェアの大きさが魅力の1つと語るのはアニメーション・CG科の学科主任、景利康弘氏。「ジャパニメーションを学びに、日本へ留学に来るアニメーター志望の学生も多いです。将来、卒業生が海外のスタジオで仕事をする可能性も十分あると思うので、Harmonyのように海外で主流となっているソフトウェア技術を習得することは重要になってくるでしょう」(景利氏)

新年度よりアニメーション・CG科の授業へToon Boomソフトウェア導入を検討している東放学園

ワークショップの様子 ワークショップの様子

アニメーション業界の次世代を担う人材育成に力を入れる東放学園。学生たちの能力向上とグローバルな活躍の機会提供を目指す上で、Toon Boom Harmony導入によるメリットは、多岐にわたるという。特に、Harmonyが1本のソフトウェアで複数の制作工程をまかなうことができる点を景利氏は強調する。「日本のアニメ制作現場では、2Dや3Dの制作にそれぞれ異なるソフトウェアが使用されることが一般的です。それを1本のソフトでまかなえるということは非常に魅力的な点だと思います」。

さらに、 Harmonyの特徴の1つとして、カットアウトアニメーションの作成機能を挙げる。近年では、ミュージックビデオの分野などでもカットアウトアニメーションが使用されることが多くなっているが、Harmonyをその制作に最適なツールとして注目しているという。「有名なアーティストのミュージックビデオでもカットアウトが使われ始めていて、それはそれで1つのジャンルを形成しつつあります。そうしたアニメーションを使用したミュージックビデオは、大きなスタジオというよりは個人のクリエイターや少人数のチームで制作されることが多く、ソフト1つで、描き、映像を繋ぎ、音まで入れられる、統合的に1人で作業ができるツールとしてHarmonyのポテンシャルは高いと感じています」(景利氏)。

アニメーション・CG科に入学する学生たちは、さまざまな職種やアニメーションスタイルを志向している。マルチなスキルを持っているクリエイター志向の学生が、個人で何か制作に取り組もうとした時に、1本のソフトで完結できる環境は、さまざまなソフトを使い分けるのに比べ、ずっとやりやすいと景利氏は語る。

東放学園:アニメーション制作の夢を実現!学生たちの挑戦を支える

Wacom Cintiq Pro

景利康弘(かげとし やすひろ)
東放学園映画専門学校 アニメーション・CG科 学科主任

Toho Gakuen Logo

東放学園映画専門学校 アニメーション・CG科

カットの足し引きを終えてから、カット内のコマを引き伸ばしたり詰めたりしてタイミングを合わせ、それからコマ毎にざっくり絵を描いていきます。全体のカット数とタイミングが決まったら、絵のクオリティを上げていき、最後にカメラワークを追加して、質感までしっかり確認します。

東放学園映画専門学校 アニメーション・CG科では、映像演出、手描き・デジタル作画、3DCG、アニメ撮影など、アニメーション映像制作に関わる全ての工程を体験できるカリキュラムが組まれています。アニメーション制作に必要な基礎知識から最新技術までを幅広く学ぶことができる同校は、アニメーション業界に挑戦する若者たちを支え、彼らが新しい世代のアニメーターとして輝かしい未来を築けるようサポートしています。

東放学園映画専門学校 教務教育部 アニメーション・CG科
東京都新宿区西新宿5-25-8
Tel:5333-5080/Fax:5333-5081

学校WEBサイト:http://www.tohogakuen.ac.jp/
学科ページ:https://www.tohogakuen.ac.jp/movie/animation/
学科Twitter:https://twitter.com/tohoanime

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アニメーターの夢を応援! Toon Boom Japanのサポート

Toon Boom Japanは、日本アニメーション制作の未来を担う人材育成に貢献するため、絵コンテ作成用のStoryboard Pro、アニメーション制作用の『Harmony』、プロジェクト管理の『Producer』といった業界標準のソフトウェアを提供しています。さらに、製品の提供のみでなく、東放学園のような教育機関との密接な連携を通じて、学生が最新技術を習得できる環境づくりをワークショップやカリキュラム監修などを通して支援しています。毎月2回の、Storyboard Pro 22とHarmony 22の無料ワークショップや定期開催しているToon Boomコミュニティイベントはどなたでもご参加して頂けます。具体的な取り組みやイベント情報は、Toon Boom Japan公式ウェブサイト又はソーシャルメディアでご確認頂けますので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

Toon Boom無料ワークショップ

毎月2回、Storyboard ProとHarmonyの無料ワークショップを開催しています。

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