日本アニメーションの制作現場:『SHIBUYA♡HACHI』・『KICKS AND PUNK』Harmony 導入事例
ブログ Text_豊田美紀
2024年04月26日
日本アニメーション株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:石川和子)は、1975年の創業以来、「あらいぐまラスカル」「フランダースの犬」といった「世界名作劇場」シリーズや「ちびまる子ちゃん」など、数多くの名作アニメを世に送り出してきた。今回は、長年にわたり日本のアニメ業界を牽引してきた日本アニメーションより、アニメーターの山本陽介氏、プロデューサーの中島友理氏を迎え、テレビ東京にて放送中のTVアニメ『SHIBUYA♡HACHI』と「あにめのたね2024」技術継承プログラム制作『KICKS AND PUNK』の2作品におけるToon Boom 「Harmony」の導入成果と今後の展望についてうかがった。
日本アニメーションでは、Toon Boom Japanのソフトウェア・インストラクターによるトレーニングプログラムを2021年3月より開始。Storyboard ProとHarmonyの基礎からコンポジットまで一通りのスキルを学ぶ講習およびインストラクターによるサポートを受けながら、『SHIBUYA♡HACHI』の制作を行ってきた。また2023年には、Harmonyを使用したカットアウトアニメーション「Narisumushi 〜episode 1〜」が、総合アウトドアブランドのLOGOSのCMとして公開されている。
Harmonyと日本のアニメ:制作現場の声から探る親和性
『SHIBUYA♡HACHI』で作画監督を務めた山本氏は、Harmonyの導入により制作効率が向上したことについて触れ、「従来の手作業で1枚1枚描く制作方法と比較して作業時間が短縮した」と述べている。Harmonyでは、ベクターベースのカットアウトアニメーション制作ができ、キャラクターデザインがシンプルであれば、少ない工数で表現が可能となる。
同作品でプロデューサーを務めた中島氏は、Harmonyと日本のアニメの相性に関して、昔から親しまれてきた長寿アニメやゆるキャラとの親和性が高いと評価する。また、日本のアニメ制作において分業化が進んでいる点についても触れ、Harmonyのようなオールインワンソフトを導入する利点について次のように述べている。「複数の工程を一人の制作者が担当できるソフトを使用することで制作者一人ひとりの責任感が強まり、作品に対する力の入れ方も変わってくると思う。ひいては作品全体の質向上につながる可能性がある」(中島氏)。
日本アニメーションでも、Harmonyの使用により、レイアウトから原画、動画まで1つのソフトウェアでできるようにもなった。加えて、Harmonyのペイント機能を使用することで、仕上げの工程まで補える点も魅力のひとつとして挙げた。
また『SHIBUYA♡HACHI』と同様に、2023年10月より『KICKS AND PUNK』制作のためのHarmony講習も行われた。当作品にて作画監督・キャラクターデザイン・指導カットアウトアニメーターを務めた山本氏は、様々な機能を使いこなすのが難しいという課題に対して、Toon Boom Japanの講師による実践的な指導とサポートが制作者たちのスキル向上に貢献していると話す。「独学では難しい部分でトレーナーが実際に来て教えてくださるのが助かります」。同作品のプロデューサー、中島氏は、Toon Boom Japanのサポート体制について、「かなり手を尽くしていただいている」と評価。今後、新たなメンバーが加わっていく際に、Harmonyチームの発展に向けたToon Boomの取り組みに期待しているという。
今後、日本アニメーションはその他の作品でもカットアウトアニメーションを導入し、作業の効率化を図っていきたいという。さらに、山本氏はカットアウトならではの表現を模索していきたいと語る。「Harmonyを使って行く中で、カットアウトが2Dと3Dの中間の表現ができるという印象をもちました。今後、3Dアニメーターの方ともコラボレーションできればいいなと思います」。
作品紹介
2024年4月6日からテレ東「イニミニマニモ」内にて毎週土曜あさ7時放送中。
作品あらすじ:渋谷駅前のシンボル“忠犬ハチ公像“として、まちを見守り続けて来た“HACHI(ハチ)”が現代の渋谷で動き出す!渋谷に集まる愉快な仲間たちと繰り広げるユル〜く楽しい日常。“HACHI(ハチ)”の小さな冒険が、いま始まる!
公式X:@lovehachi_PR
『KICKS AND PUNK』
文化庁 令和5年度 アニメーション人材育成調査研究事業「あにめのたね2024」技術継承プログラム制作品。青春と音楽をテーマにした日本アニメーション株式会社によるオリジナルショートフィルム。
Toon Boom Japanは、日本のアニメ業界の未来を担う人材育成に貢献するため、アニメ制作会社や教育機関と連携して様々なサポートサービスを提供しています。その一環として、毎月2回、Storyboard ProとHarmonyの無料ワークショップを開催していますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。
アニメーターの夢を応援! Toon Boom Japanのサポート
Toon Boom Japanは、日本アニメーション制作の未来を担う人材育成に貢献するため、絵コンテ作成用の『Storyboard Pro』、アニメーション制作用の『Harmony』、プロジェクト管理の『Producer』といった業界標準のソフトウェアを提供しています。さらに、製品の提供のみでなく、東放学園のような教育機関との密接な連携を通じて、学生が最新技術を習得できる環境づくりをワークショップやカリキュラム監修などを通して支援しています。毎月2回の、Storyboard ProとHarmonyの無料ワークショップや定期開催しているToon Boomコミュニティイベントはどなたでもご参加して頂けます。具体的な取り組みやイベント情報は、Toon Boom Japan公式ウェブサイト又はソーシャルメディアでご確認頂けますので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。